ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


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マキの買占め、自分の値段

 先日、紹介した『あしめし』の葛西りいちさんですが、アマゾンに新刊告知が出ていました。

あしめし つう アシ仲間でメシが食えんのか

葛西 りいち / 小学館



 ブースにわざわざ行ったので、ものすごい善人キャラで描いてくれるだろうと思いきや、

 お客さんとしてきてくれたのですが、そのドSぶりに、ちょっと葛西は腰が引けてしまいました。

 おい、善人キャラで描いてもらって、全国に石渡イコール善人キャラが広まって、ついでに来年の参議院選挙で立候補、という遠大な計画をどうしてくれる。

 善人キャラどころか、ものすごい悪人キャラで登場する、らしいです。今から、クレーマーもかくやの苦情申し立て準備をしておいてやる(笑)。

 翌日の記事を見ると、漫画専門店が『あしぱろ』の委託受付可能性が高まったとのこと。それは朗報なのですが、一方、オークションで9250円までついた模様。

 しまった、20冊くらい買っておけば良かった

 なんてことは言いません。定価が×円で、送料引いて、なんて計算はしていませんよ、ええ。
 ちなみに、今は2000円前後。あ、まだ十分利益が出るな(笑)

 真面目な話をすると、実は似たような経験が私にもあります。去年の『就活のバカヤロー』がヒットしたとき、アマゾンで確か1500円くらいの中古価格が付いたことがあります。

 『時間と学費をムダにしない大学選び』も品薄が影響して、4000円くらいまで上がった記憶が。

 よし、それなら俺がシュウバカを書店で買い占めて1000円で売れば、一般書店も利益になって、こっちも儲かるぞ 

などと悪魔のささやきが。もちろん、しませんでしたが(笑)。

 正直、困惑しました。定価以上の価値を付けてもらって本当によいのか、と。

 人気過剰に困惑するのは、私や葛西さんに限りません。ライター・漫画家や小説家などは誰もが通る道のようです。
 葛西さんのオークションとはやや異なりますが、小説家の村上春樹さんもエッセイ『遠い太鼓』で人気過剰に困惑したことを書かれています。

 (『ノルウェイの森』の大ヒットを受けて)僕はどうしてもある種の切なさから逃れることができなかった。

 すごく不思議なのだけれど、小説が十万部売れているときには、僕はとても多くの人に愛され、好まれ、支持されているように感じていた。でも『ノルウェイの森』を百何十万部も売ったことで、僕は自分がひどく孤独になったように感じた。そして自分がみんなに憎まれ嫌われているように感じた。
<353ページ「1988年、空白の年」より>

 

遠い太鼓 (講談社文庫)

村上 春樹 / 講談社



 そして、小説家なのに、文章が一切書けなくなった、と告白しています。今、『1Q84』がベストセラーとなって、どんな感想をお持ちなのか、ちょっと気になります。
 やはり、ある種の切なさがあるのか、それとも…。

 あの村上春樹さんでさえ悩み苦しむ人気過剰問題。資本主義経済にある限り、この問題は漫画家・小説家や私ごときライターでも付きまとうことでしょう。

 まして、本来は社会主義であるはずの中国も、経済は資本主義だ、ということで、日本の木を買い占めるほどの時代。

 日本の「マキ」中国が「買い占め」 なんと1本1000万円も出現

 人気になっても、その逆に叩かれても、新しい作品を出して、読者に買ってもらわなければ生活できないのが、漫画家・小説家、あるいはライターの宿命です。

 人気過剰でも、おごらず、かと言って落ち込まず、次の作品を生み出していくのが一番。
 というわけで葛西さんもあまり落ち込まないように。


 と、ここまで書いておけば善人キャラで描いてくれるでしょう、描いてくれるよね。というか早く描け!(という余計なことは書くからドSなんて言われる・笑)。

by reiji0 | 2009-08-20 10:04 | 日記