ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


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「経済学的に意味のない表現」

 今回の震災、被災地では深刻な燃料不足が起きています。

 そんな中、宮城県のダイシン泉店では確か月曜(14日)だったと思いますが、灯油10リットルを無償で被災者に提供しました。
 泉店は被災地の真っただ中にあり、当然ながらこのダイシン泉店も被害を受けています。
 しかし、同店店長は無償での提供を決断しました。
 仮にですが、通常の数倍でも売れたでしょうし、定価でも売れたでしょう。ですが、同店の店長は無償での提供を決断しました。

 テレビの取材に対して

 明日寒くなるので…少しでも手助けになれば…
 社長に叱られなければいいですけどね…

 と答えていたのが印象的です。

 このダイシン泉店だけではありません。被災地では自分も被災者なのに歯を食いしばって助け合う公務員、流通関係者の姿が次々と流れました。

 一時期、チェルノブイリ以上の事故さえ予測された福島第一原発も、東京電力社員や自衛隊、消防官の懸命な努力で最悪の事態は回避できつつあります。

 いずれも、損得勘定とか自己保身を超越しています。
 もちろん、人によっては違う論理を持ち出すでしょう。

 ダイシン泉店や流通関係者が努力しているのは、復興後の評判を考えてのことだ、東京電力社員が事故対応に汗をかくのはそれが仕事だからであり当然だ、偉そうなこと言ってもしょせんは偽善だ云々…。

 そうした論理をすべて否定するものではありません。
 ですが、ちょっと考えてみてください。

 これが他国ならどうだったでしょうか?

 たとえばアメリカ。『これからの「正義」の話をしよう』の冒頭はハリケーン被害地・フロリダの話です。被災後、モーテル経営者や発電機の業者は4倍、あるいはそれ以上の価格を要求しました。この便乗値上げに怒ったフロリダ州民は州当局に苦情を寄せ、州当局は便乗値上げ禁止法を制定しました。
 ところが、この動きにある経済学者は

 「経済学的には意味のない表現」

 と論じた、とあります。

 この経済学者からすれば、便乗値上げどころか、無償で需要が高まった灯油を提供するなど、無意味どころか愚かしい行為と映っていることでしょう。

 ですが、私は「経済学的には意味のない表現」や行為こそ大事にできる日本に生まれたことを誇りに思います。

 今週の週刊ポストではないですが、

 日本を信じよう

 心からそう思います。
by reiji0 | 2011-03-20 20:13 | 日記