ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


by reiji0
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同窓会出席以上おごりなし未満

 『大学の思い出は就活です(苦笑)』の発売前後から20以上の生協を訪問した石渡です。
 多少効果あったのか、アマゾンでの絶不調とは裏腹に生協では好調のようです。
 こういう話をすると「なんでそこまでするの?」と言われます。私からすればやって当たり前なんですが、だんだんと「印税生活」への誤解が根底にあると分かってきました。

 印税生活、というと
「印税が入って笑いが止まらない」
 というイメージを多くの方はお持ちです。

 が、これはある部分だけしか見ていないわけで。私の見たところ、「印税生活」には4パターンほどあります。

パターン1:出した本の複数冊が10万部越え。印税だけでも十分な年収が確保できる。
パターン2:出した本は初版止まりがほとんど。印税はお小遣い程度にしかならない。が、本業が他にあって、商業出版は、箔付けになる。
パターン3:出した本の複数冊は2万部を越えるが、10万部越えはゼロか数冊程度。本業が他になく、印税が収入の相当割合を占める。
パターン4:出した本は初版止まり、かつ、刊行点数が少ない。印税はお小遣い程度。本業を雑誌記事など他に置いており、生活はどうにかなる。

 パターン1は、有名な小説家やノンフィクションの世界だと過去にヒット作を出した方、例えば山田真哉さん、城繁幸さんなどが有名なところ。
 このパターンまで昇華すると、著作が本業でも結構、裕福な生活を送れます。テレビ・ラジオもレギュラー出演の話は来るでしょうし、自治体・企業主催の講演も結構来るでしょう。講演料もまあ二桁越え、雑誌連載も途切れることなく、書籍企画もちょこちょこ来ます。
 さらに昇華すると、森永卓郎さんのようにテレビに出ずっぱりになるか、猪瀬直樹さんのように政治家に転身するか、など、パターンは色々ですがそこはまあ置いておきます。

 パターン2はコンサルタントなどに多いですね。
 出しては外すの繰り返しで売れず、粗製濫造と批判されてもどこ吹く風。本業が他にあるので、印税がそれほど多くなくても生活には影響がありません。

 パターン4は新人ライターによくあるパターンです。当初の意気込みに反して本は案外売れない、だけど雑誌記事執筆がメインでそちらの原稿料が収入の大半を占めています。大変ではありますが、印税は基本あてにしていない、という点ではまあパターン2と同じで気楽です(そうでない人もいるだろうけど)。

 問題はパターン3。これ、私が当てはまります。ヒット作があって、そこそこ出版企画が来たり、こちらが持ち込んでも門前払いということはなく、毎年何冊かは出せる、だから雑誌記事はメインにはしづらい、という状態。
 これ、事情を知らない人からすれば
「著作がいっぱいあっていいですね~」
 まあ出版の機会に恵まれているという点ではありがたいです。が、収入という点では相当きついです。
 1冊書き上げるのに最低4か月として、初版1万部・定価800円・印税率10%だと80万円。月20万だと牛丼屋とかコンビニでフルに働けばいい勝負ですよね?
 しかも、コンビニだと交通費とか制服などの経費は雇用者持ちですが、書き手の場合、交通費も経費も完全に自己負担。それは税務申告のとき経費として落とせるじゃないか、という反論もあるのでそれを差し引いても牛丼屋・コンビニバイトと同レベルですよ?
 もちろん、出した本が当たれば、「倍率ドン!さらに倍」(元ネタはクイズダービーとか説明しても古すぎるか…)てなもんで、収入は一気に増えます。先ほどの計算で増刷1万部なら、印税は累計160万円。おお、月あたり40万円。
 ところが、そうそううまく行かないのが出版業界。
私の場合は以下の通り。

●大当たり
『就活のバカヤロー』(2008年)…累計12万部(共著)
●中当たり
『15歳からの大学選び』(2004年)…累計2.6万部
『最高学府はバカだらけ』(2007年)…累計5.5万部
『アホ大学のバカ学生』(2012年)…累計4.5万部(共著)
●小当たり
『15歳からの大学選び トレンド業種志望編』(2005年)…累計1.4万部(共著)
『転職は1億円損をする』(2008年)…累計1.35万部
●増刷なしもほぼ完売
『時間と学費をムダにしない大学選び』(2008年)…1.5万部
『進路図鑑2010』(2009年)…2万部
『時間と学費をムダにしない大学選び2011』(2010年)…1.5万部
『時間と学費をムダにしない大学選び2012』(2011年)…1.5万部
●外れ
『学費と就職で選ぶ大学案内』(2003年)…0.6万部
『強い就活』(2009年)…2.3万部
『ヤバイ就活』(2009年)…1万部
『就活のバカタレ!』(2010年)…1万部
『就活のしきたり』(2010年)1.2万部
●刊行2か月以内
『大学の思い出は就活です(苦笑)』…初版1.2万部
『最辛大学ガイド2013』…初版1.5万部

 刊行2か月以内の2冊は別として、増刷した本を「勝ち」、増刷なし・ほぼ完売を「引き分け」、売り上げ不調を「負け」とした場合、私は6勝5敗4分けとなります。うーん、微妙(笑)。
 おそらく、私が出版企画の話を持っていけば一度は話を聞いてくれる出版社がほとんどでしょう。で、ある程度は通ると思います。現に今年秋~来年春ごろ刊行の話、すでにもう動いていますし。
 出版の話が通る、ということはその分だけ雑誌記事をメインに、という話から遠ざかります。それでいて、出した本が売れないとコンビニ並み。もうお分かりですね?私が今いるポジション「パターン3」は「印税はお小遣い程度」で十分のパターン2・4でもなく、「印税がたくさん入ってくる」のパターン1でもありません。文字通り「印税で生活している」、言い直せば「印税が入らないと生活が成り立たない」状態なのです。
 そういう状態であれば、本を売ることに熱心になって当たり前です。特に、3月刊の『大学の思い出は就活です(苦笑)』は、私がい事前に懸念した通り、就活本と誤解されています。大学生活本ですから、と訴えるためには直接行くしかないわけで。
 ちなみに、講演はパターン1に入れば企業・業界団体・自治体主催のものがどんどん来て、いい金額、ぶっちゃけると2ケタもらえます。が、私の場合、本の販促とセットなので交通費程度。学生主催だとタダです(それでもいいと光文社新書・ちくま新書に明記しましたし)。
 さすがに詳しい金額は控えますが、そんなわけで、ライターになって以降の年収は『就活のバカヤロー』バブルに沸いた(笑)、2008年を別とすれば同年代サラリーマンといい勝負、下手すれば負け、というあたりです。
 ときどき「印税がたくさん入って笑いが止まらないでしょう」と言われますが、あのそこまでではないですよ、という備忘録として今回は書いてみました。

 高校の同窓会でもよく言われるのですが、そういうときは

「同窓会には顔を出せるほど稼いでいるし、借金を申し込むほどにはひどくない。だけど、『よっしゃ今日は俺のおごりだ』と言い切れるほどには儲かっていない」

 と答えると大体は納得してくれます。

 あー、だけど、うちの高校の同窓会、ラグビー部・柔道部出身者がやたら多いせいか、よく飲むんですよね。この間なんか、午後3時からスタートで4次会は深夜3時くらいまでって、お前ら12時間も飲み続けてどうするよレベル。
 アルコールに弱い私はビール1杯、ウーロン茶3杯につまみちょっと食べて8000円って何の罰ゲームですか状態。

業務連絡:北嶺高校同窓会関係者の皆様へ
石渡嶺司は同窓会があれば顔を出せるほどには稼いでいますが2次会以降に参加し続けるほどには儲かっていません。ついでに体力もないのでご勘弁を。
by reiji0 | 2012-05-01 00:38 | 日記