ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


by reiji0
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石渡がSNSでの議論を面倒だと思う理由~樋渡市長発言の炎上を題材に


 ぼちぼち講演と『最辛大学ガイド』の宣伝など、と思っていたらこちらの方が面白いので。

 私の知人のそのまた知人(つまり他人とも言う・笑)である佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長はアイデアマンとしても有名です。直接、面識があるわけではないのですが『首長パンチ』(講談社)は公務員志望の大学生・高校生に読んでほしい良書。

 この樋渡市長がCCC(ツタヤ経営)と提携し新図書館構想を発表しました。
 共同通信記事はこちら


 発表の際、ユーストで樋渡市長が
「貸出情報は個人情報には当たらないというのは僕の持論」
 とコメント。
 これがもとで個人情報の軽視か、と樋渡市長のツイッターアカウントは炎上しました。

 主な批判は次の通り。
●個人情報の軽視もはなはだしい
●「図書館の自由に関する宣言」を軽視している
●公共機関を民間企業に任せていいのか
●結局、予算を削減したいだけ
●やり方が独裁的

 ま、大体、このあたり。ここでCCCとの提携構想の是非についてはおくとします。
 私は面白い発想だと思いますし、前例のないことですから、やってみなきゃ分からないわけで。

 興味深いなあと思い、かつ、学生さんにも色々と調べたうえで自分のキャリアに生かしてほしいと思う切り口がいくつかあります。

1)法律論
 ネットで一番炎上している個人情報保護の問題ですね。樋渡市長のブログをよく読むと軽視していないことが明らかです。
 「図書館の自由に関する発言」の「第3 図書館は利用者の秘密を守る」を厳密に適用するとひっかかりそうです。が、こちらの最新の改訂は1979年。30年以上前の解釈が現代も通じるのか、というのもツッコミどころ。
 公共図書館がこの宣言をゆるく解釈する程度でいいのか、それとも厳密に適用しなければならないのか、というのも切り口としては面白いですね。
 司法業界や公務員志望の学生は法学部の先生に質問するといいでしょう。

2)行政論
 これもネットで炎上している批判の一つ、「予算削減」がポイント。どこの自治体も税金の運用は適格にしたいと考えていますし、ムダ遣いが許されないのは誰もが納得するところ。
 予算削減はサービス低下につながることが多々あります。一方、予算削減・サービス向上につながった例もあるはず。では、その例は何か、というのが公務員志望者なら気になりません?日本だけでなく海外の事例も含めれば、結構ありそうな気がします。
 指定管理者制度でCCCを指定管理者にしようとしているところも興味深いですね。民間の活力を導入使用して始まった指定管理者制度は結局、自治体の外郭団体しか応募できない事例が多数を占めています。これも何がまずくて、うまくいっている(おそらく少数)事例はどこか、など調べていくと面白いでしょう。

3)ネット論
 ようやく本題にたどりついた(笑)。
 樋渡市長の一部のコメントだけでツイッターアカウントが炎上。さらにブログの
「もうTwitterは議論する場じゃ無いよね。2ちゃんねる化してる。その点Facebookはやはりまともでしたね。やっぱり、実名が一番」
 とのコメントにも批判が殺到。

●「日本ツイッター学会長」を名乗る人が、「Twitterは議論を深めるには適してない」との発言はおかしい

 なんか、こういう批判が出ること自体が私は「2ちゃんねる化」だなあと思うわけです。
 学会を名乗ったからと言って、批判コメントがダメ、一方的な賛美のみ許されるなんて誰が決めたのでしょうか。
 学会内でテーマそのものへの批判論さえ許されないのであれば、それこそテーマそのものへの冒とくというものでしょう。テーマそのものへの批判論を徹底的に封じこめた原子力工学関連の学会が結果として福島原子力発電事故の前ではただただ無力だったことを多くの人は知っているはずです。

 私はツイッターだけでなく、フェイスブックでも議論はことごとく敬遠するようにしています。自分にとってはあくまでもゆるーくつながるツール。それと仕事と関係あるなしに関わらず面白そうと思えばそこから人間関係を広げるためのツールでもあります。
 なので、批判コメントに対しては「貴重なご意見ありがとうございます」。議論ふっかけ気味のコメントに対しては「そうですね」「参考にします」などで強制終了。ええ、誠実さのかけらもございません(笑)、だって面倒だし。
 なので、樋渡市長や私の相方・山内太地などがSNSで議論をしているのを見ると、すげー、絶対俺には真似できねーと思うわけです。

 議論自体が嫌いというわけではありません。むしろ好き。それと一時、SNSでも議論可能と思っていた時期がありました。
 それが今はSNSでの議論をことごとく敬遠しているか、というと、同じレベルかどうか、というのがSNSでは不明瞭だからです。私からすれば実名のフェイスブックでも同じ。

 例えば、
「地域振興のための大学誘致をしたい」
 との議論が出てきたとしましょう。樋渡市長はそんなこと言いそうにないですが、まあ仮に、です。
 これが直接会っての議論なら、地域振興を名目にした大学誘致がことごとく失敗している前例を知っているかどうか、などがちょっと話せばすぐ分かります。あるいは、こちらが知らない情報、例えば自治体の都合などを開陳してくれるかもしれません。
 会えばいくらでも話が弾むでしょう。それがSNSだと私は正直、期待できないのです。

 というわけで今後もSNSはどう言われようと、私はゆるーく使っていく所存です。
 あ、ネット論としては、このSNSの使い方なども調べていくと面白いかな、と。
by reiji0 | 2012-05-07 10:22 | 日記