ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


by reiji0
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武雄市図書館見学記

九州出張(長崎県立大シーボルト校での講演が主)のついでに佐賀県武雄市の図書館を見学してきました。

 まあ、別に取材してどこかの媒体に書くとか、何かを暴くとかではなく。話題の図書館をちょっと見てこようか、という程度。
 それをちょっとつぶやいたところ、あれよあれよという間に樋渡市長とお昼ご飯を食べることに。話が早すぎ、市長。

 さて当日(7月25日)、長崎を出て、佐賀大学生協に挨拶に行くためまずは佐賀へ。9時44分着→タクシーで移動、裏門で待機してもらう→挨拶して5分で撤収→10時17分発のハウステンボス号で武雄温泉駅へ。
 武雄温泉駅に到着後、スーツケースをコインロッカーにぶちこみ,それから図書館へ…向かいません。行先は武雄市図書館の向かい側にあるゆめタウン。2階の明林堂書店を視察。ついでに自分の新刊を購入(樋渡市長に渡すため)。
明林堂書店ゆめタウン武雄店はゆめタウンの2階奥。規模からいえば中規模店。新書のコーナーは売れ筋・新刊のみと小さめでした。まあ、ショッピングモールによくある書店。小規模店とは言わないけど、全部そろうような大規模店でもないかな。客数は10人くらい。客がたくさんいるとはちょっといいがたい感じでした。
 ゆめタウン自体は平日でも結構人が入っています。ついでにスーパーも一通り見て回り、へじと言ったか、ブリのような刺身がうまそうでした。
 ゆめタウン自体に人が集まっていても書店に人が来ないのは図書館/ツタヤの悪影響?うーん、でもショッピングモールの書店、入りが悪いところ多いような気が。
 私の実家(札幌)の郊外にもいくつかショッピングモールがあり、そのうちの1つ、ジャスコによく行っていました。かつては紀伊國屋書店が入っていたのですが、その後撤退。
 規模・品揃えの問題もあるような気がしますが、そこは置いといて、いよいよ図書館へ。

 
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 ゆめタウンからは向いにあるのですぐ行けます。あとで気づいたのですが、正面玄関よりもゆめタウンにより近い通用口がありました。
まず、車がやたら多いです。駐車場はほぼ満車状態。
中に入ると横浜市議会などの視察が来ていることもあり、来館者は多数いました。一通り回るとざっくり300人くらい。300人は言い過ぎかなあ。館内の座席は8割ぐらいが埋まり、販売スペースなどをうろうろしている人の数を考えれば体感値としてはそれくらい。
細かいデータはともかく、平日の公立図書館でこんなに人が入っているのはそうそうないんじゃないでしょうか。販売ブースは雑誌・漫画や売れ筋の本が強力プッシュ、というツタヤらしい構成。
 館内をうろついているのは視察の議員や自分と同じような観光客っぽい、市外からの来館者が多数。ただ、着席している来館者、それから奥の方にいるのは地元住民とおぼしき方々。
高齢者や子どもを連れた家族、勉強に来ているのか高校生、漫画コーナーで盛り上がるなよ小学生、などなど。
 貸出スペースは、賛否両論(否定論は当然、図書館関係者から)のテーマ別配架。1階の一番目立つ場所に料理、旅行。児童書は1階の奥。ビジネス書などは2階。
 一般市民の利用が多そうなテーマは1階のわかりやすい場所に、子どもが集まる児童書は1階の奥。社会人の利用が多そうなビジネス書は2階にして、館内を見下ろせる席(PC利用可能)でどうぞ、とのことなのでしょう。
 そして、配架方法は従来の図書館のような日本十進分類法ではありません。従来の図書館を使い慣れている人からすれば非常にわかりにくいです。
 たとえば、私の当たり作である『就活のバカヤロー』。従来の図書館であれば、新書コーナーを探すか、少なくとも分類法がわかっていればすぐ見つかりました。では武雄市図書館は?場所は「教育/教育・保育/高等・専門・大学教育」です。うーん、まあ大学のことも書いてあるから外れではないけど…。一方、私のはずれ作『強い就活』は「語学・参考書/資格・就職/就職ガイド」。
 もちろん、両方置けとかそういうことではありません。私のもの以外でも就活関連をテーマにした本は大学教育、就職、雇用、女性問題、法律など多岐にわたります。運営スタッフが定めたテーマ分類の中にさまざまな本があることは面白いと言えば面白いですが、わかりにくいとも言えます。
 そうしたデメリットを補うためか、館内のあちこちに検索機があるのは便利です。
もし、自分が武雄市民の一般利用者(38歳・独身)だったらどうでしょう。来館者数が多く落ち着かないと言えば落ち着かないです。だけど、2階はPC利用可能だし吹き抜けの構造で居心地は悪くありません。差引計算で言えば通うと思います。
もし結婚して子供がいた場合はなおさら。実際、子連れのファミリー層が多数いましたし。
蔵書数は変化がない、閉架が開架に変わっただけ、という批判もあったのでそこも注目してみました。まあ、2階吹き抜けの部分などはかなり取りにくい場所はあります。だけど他はふつう。あの閉架式って、国会図書館のように館員に出してもらう形式だから相当面倒なんですね。それが開架に変わっただけでもすごいはずなんですが。

 ということを考えながらうろついていると、市長とのランチの約束の時間。市長、私のほかは田村馨(福岡大教授)、杉山隆志(システムコンサルタント)、屋良ゆう(ICTクリエイター)、伊波良和(FMうるま代表取締役)、兵土美和子(福岡大学非常勤講師)。どうしてこのメンツになったかはさておくとして(まあ、FBで参加表明してくれた方ということ)。
 すぐ昼食かと思ったら、メディアホールへ。横浜市議会の視察団への説明・質疑応答があり、なぜか参加。市長もそこで挨拶しつつ、視察団の質問に回答。そのときの答えなどは部外秘もあるのでここでは割愛しますが、部屋中が盛り上がっていたことは付言してもいいか、と。
 資料をもらったので、そこから引用すると来館者数は4~6月の3カ月で2012年6万1585人に対して2013年は26万4857人。2012年来館者数が25万5828人なので、わずか3か月でクリアしたことになります。まあ、スタバ・ツタヤ目当てに来館した人もいるわけで単純比較はできません。しかし、スタバ・ツタヤ目当ての来館者であってもその多くは図書館も利用しようと思うはず。そう考えるとこれは異常な数字です。
 図書貸し出し冊数も3カ月合計では2012年7万7326冊、2013年14万9632冊とほぼ倍増。

 運営をツタヤ(CCC)に任すという時点で賛否両論になるに決まっています。ただでさえ、図書館が一般書籍の販売を阻害している、という批判があるわけですし(心なしか、大御所クラスに多いような)。
 困ったことに、こういう批判、感情論に基づくものが多いです。たとえば、「新刊が売れない」→「図書館が無料で貸すから悪い」批判の場合。たとえば、村上春樹や宮部みゆきなどの新刊を図書館が大量に入荷、そこに予約が殺到するとか断片的なデータは入ってきます。
 だけど、それはあくまでも断片的なデータのはず。借りて読んだら人生観が変わったから購入しなおした、なんてこともあるはず。
 それから、駆け出しクラス~中堅クラス(一応、自分は今ここ)の書き手は、図書館の購入が大きいはず。「~はず」「~はず」って、勝手な推測だろう?そう、その通り。推定でしかない以上、図書館(あるいはツタヤ、あるいはブックオフ)を原因とは断定できないのです。
 それを決めつけるのは私はどうかな、と。で、これはCCCにご提案。不詳・石渡のフェアを、というのは置いといて。村上春樹なり宮部みゆきなり、最近の新書の売れ筋(『騎手の一分』とか林真理子さんのとか)、全部でなくていいです。何冊か選んで、武雄と同規模の店と武雄の店舗との売上比較データを公表していただけないでしょうか。図書館で貸し出しをしている本が販売にどの程度、悪影響が歩かないか。それはこの武雄市図書館を運営しているCCCにしかできません。
 それと樋渡市長/武雄市にお願いしたいのは、ゆめタウンや市内一般書店にどの程度影響があったかどうかの調査。おそらく、ゆめタウンの客数自体は増えているはずです。増えていれば、これはショッピングモールの開発のターニングポイントとなります。自治体からすればお荷物ともなりかねない図書館運営を民間企業に任す、ついでにショッピングモール内(または武雄と同じく併設)に設置、ついでにショッピングモール開発業者に費用の一部を負担させる、そうすれば自治体の財政が好転します。ショッピングモール開発業者にとっても、来場者数が増えて売り上げが上がるという見込みがあれば併設(ないし隣接)を考えるでしょうし、費用も多少は出すでしょう。利用者もショッピングモールによるついでに利用できるなら便利この上なし。ね?三者とも幸せじゃないですか。

 視察団の質疑応答を聞きながらちょっとそんなことも考えました。

質疑応答終了後、市長行きつけ(?)のラーメン屋へ。そこで図書館のことからネット炎上のことまであれこれ話し、図書館前に戻って写真を撮り解散。

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 福岡空港のラウンジで感想をちょい書いたところ、案の定、アンチ樋渡の方々によりツイッターは炎上。まさに『武雄炎上なう』という見事なオチが付きましたとさ。めでたしめでたし(んなわけない)。
by reiji0 | 2013-07-26 15:44 | 日記