ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


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『沸騰!図書館』できるかな・4~増刷決定&本の骨組み

沸騰!図書館 100万人が訪れた驚きのハコモノ (角川oneテーマ21)

樋渡 啓祐 / KADOKAWA / 角川書店



●『沸騰!図書館』増刷決定

 こんにちは、石渡です。

 『沸騰!図書館』、めでたく増刷が決まりました~(拍手)。

 まだ増刷部数は調整中です(初版は1万部)。

 出版が冷え込んでいる中、増刷が入るかどうかが第一関門です。

 まして、地方の首長が著者で、テーマが図書館、というかなり狭いジャンル。

 初版1万部というのも今の出版業界ではかなりの冒険です。

 増刷がかかるかどうか、ひやひやしていました。

 それをなんとか超えたので、まずは一安心。

 Amazon含め、ネットでは在庫切れ、ないし、お届けまでに時間がかかる状態になっています。

 お急ぎの方にはご迷惑をおかけしております。規模の大きな書店では入荷済みなので、もしお急ぎでしたらそちらでお求めください。


 さて、できるかなシリーズ4回目、今回は本の基本方針について。ま、大きな柱と言いますか、そういうのが3つありました。


●1:読める日本語にする
 出版業界の中では「商業日本語」「読める日本語」「通じる日本語」など人によって言い方は違います。

 まあ、一般読者にも分かるような文章、という意味です。

 当たり前なんですが、これが出来ない書き手候補(場合によっては実績ある書き手も!)は結構います。
 
 特に大学教員や弁護士などの専門家やマニアとなると危ないですね。

 日本語であることはわかるのですが、狭い世界でしか通用しない話を飛ばして書かれる方が多数。

 知己の新書編集者と話をしていても、書き手候補として魅力があっても断念した、という話をよく聞きます。

 それから、情熱的に話す方、講演などがうまい方でも文章となるとちょっと、という方が結構います。

 同じ話を繰り返し書くとか、接続詞の使い方が下手(「また」「あと」の多用など)とか。

 編集者が多少手を入れることはありますが、あんまりひどいと編集者でなく、半分著者みたいなものになってしまいます。

 幸い、樋渡市長は「読める日本語」をきちんと書ける書き手でしたので、この心配は杞憂でした。

 「ここ、情景をうまく表すために季節感を盛り込んでください」

  と注文を出すと、きちんと応えてくれました。

 ん?

 なぜ、図書館の新書で季節感が必要か?

 そこは、えいやと飛ばすことにしましょう(ステマなので)。

 情報量が多いので、それをどう切るかで編集担当としてはかなり苦しむことになりましたが、それはまた別の話。

 樋渡市長の場合、専門用語をかみ砕くことにも理解してくれたのは編集担当としてものすごく助かりました。


●2:視点を1つにしない
 本は書き手(樋渡市長)のものですが、図書館は樋渡市長1人でできたものではありません。

 ただ、市長本人が取材するのもどうも、ということで、そこは編集担当である私が館長や市役所の担当職員、CCC関係者などに取材、メモ原稿としてまとめて提出しました。

 それから、視点ということでは、攻撃・守備のバランスを取った、ということも言えるでしょう。

 武雄市図書館についてはネットを含め、かなり強い否定論がありますし、一方で樋渡市長自ら反論されることもあります。

 さて、この否定論、反論をそれぞれどうするか。

 否定論が強すぎると、守勢に回ってばかり、となってしまいます。

 一方、反論に打って出た話を中心にすると、それはそれでとげとげしくなってしまいます。

 どちらも実際にあった話ですから、そこは新書として読みやすいようにバランスを取りました。

 たとえば、市議会でのやり取り。質問と答弁は通常、面白くもなんともないのですが、武雄市議会はかなり白熱したやり取りがあります。

 私個人としては議事録を読んでいても飽きませんでした。ただ、全文を掲載すると、それだけで新書の相当部分を占めることになるので、ポイントポイントを抑える程度にしました。


●3:動き・流れを出す
 一番意識したのがここです。

 樋渡市長の前作、『首長パンチ』も動き・流れが良く、すっと入っていける本でした。

 他に、イメージしていた本は『大統領オバマは、こうしてつくられた』。

大統領オバマは、こうしてつくられた

ジョン・ハイルマン / 朝日新聞出版



 2段組で400ページを超える分厚い本。アメリカ政治の専門家か、よっぽど興味あるもの好き以外、読まないだろう、という本です。

 ただ、アメリカ大統領選にちょっとでも興味ある人であれば、めちゃくちゃ面白い。

 民主党予備選、共和党予備選、本選挙の3編構成なのですが、それぞれ、ジェットコースター的な展開に引き込まれる名著です。

 もちろん、『沸騰!図書館』は新書ですから、あれもこれも、と詰め込めるわけではありません。

 とは言え、多くの困難、多くのハードルがあり、それを多くの人の協力によって乗り越えてきたことも事実です。

 この展開の面白さ、『大統領オバマ』に通じるものがあるな、と考えながら作っていきました。

 ※「できるかな」シリーズ、まだ続きます~
by reiji0 | 2014-05-12 16:58 | 『沸騰!図書館』