ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


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頂点と底辺、その間(その6)

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※前回の続き。
 福祉コースを設けている、ということでまずは福祉実習室へ。パンフレットによるとここでは福祉機器を展示しているとのこと。
 行ってみると、教室が開放されていません。来るなと言っているも同然との印象を持ちましたが、恐れを知らない同行者は勝手に開けて、

 「見学いいですか?」

 とずかずか入っていきました。後に続く、他の同行者と私。マスコミ関係者のずうずうしさはこういうところにあらわれます。

入り口の横には展示案内役を受け持っているであろう、生徒が5人いました。
 しかし、彼らは明らかに動揺しています。

生徒A「誰話す?」
生徒B「あんた行きなよ」
生徒C「えー、嫌だぁ」

 嫌も何も見学者が目の前にいるんだ、嫌がるな女子高生。結局、一人の生徒が説明を始めました。

生徒D「この用具は~」

 説明を聞きながらこの生徒の表情を観察していると、「なぜ見学に来ているのか」という当惑と「私が説明するなんて」という面倒な思いがミックスしているのが明らかです。
 ま、見学者一行は女性編集者一人を除けば、むさくるしい三十男が三人。そりゃ、当惑も忌避感も覚えるでしょうけど。
 そのうち、同行者の男性二人(以後、漫才コンビと略)は福祉機器を使って、漫才を始めました。場の空気を変えようと思ったのでしょうけど、明らかに逆効果です。説明役の女の子は一行から離れ、仲間のところで話し始めました。

生徒D「なに、この人たち」
生徒A「えー。記者なんじゃないの」
生徒B「なんでうちに来るんだろうね?」

 明らかに邪魔者扱いです。しかし、私含む同行者は全員がマスコミ。そんな程度でめげるわけがありません。
 漫才コンビを無視して質問してみることに。

私「福祉コースから福祉業界に進む人は多いですか?」
生徒D「老人ホームなど福祉施設に行く先輩はいます」

 多いかという質問に対して答えがどうもかみ合っていません。この生徒自身も、福祉コースに属している割には福祉業界への強い志望を持っているとは思えませんでした。

 私が以前に福祉の東大こと日本社会事業大に見学に行ったときのこと。同じような福祉機器展示コーナーがあり、そこで大学1年生と話す機会がありました。
 彼は福祉への熱い思いを語りました。見ず知らずの一見学者にまでそう話せる彼ならば、福祉業界で活躍し、よい方向に引っ張るのでは、と期待することができました。
 大学生と高校生の違いと言えばそれまでですが、同じ福祉機器の展示・説明でも明らかにその熱意が違います。

 福祉業界に強い志望を持っていない福祉コースの生徒。それでも、彼らは福祉業界に就職するか、あるいは推薦・AO入試で福祉関連の大学に入学します。
 熱意がないまま働き、あるいは大学で専門の勉強をする。どうなるか、結果は明らかでしょう。それはその生徒と、大学・就職先の双方にとって不幸なことではないでしょうか…。
by reiji0 | 2007-10-07 11:42 | 日記