ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


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頂点と底辺、その間(その10)

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 前回の続き。
開成の展示の素晴らしさは折り紙部だけではありません。理系クラブや鉄道研究部などの展示はクイズも合わせて実施しています。それを採点する係がいて、点数を付けて回答・解説をまとめたプリントまでくれます。見学に来ていた小学生はこのクイズを楽しみながら解いていました。
体育会系の水泳部まで日本の古式泳法について展示していました。
 この質量の違い、そして来場者を楽しませようとする生徒の心意気、その差は明らかです。
 そして私はある皮肉な事実に気付きました。それはAO入試についてです。
 私は『最高学府はバカだらけ』の中でAO入試のことを「推薦入試の変化球」と書きAO入試推進論者の方からえらく不興を買ったと聞いております。
 そのAO入試推進論者からはよくこういうことを聞きます。
曰く、
「偏差値一辺倒ではない、もっと意欲あふれる生徒を評価したい」
曰く、
「受験勉強にのみ長けていてもダメだ、自ら考えて動けるタイプでないと」
云々。
整理すると、学力が劣っても意欲があればいい、ということですね。確かに大学進学への意欲は偏差値の高低に関係なくあると言ってもいいでしょう。
しかし、AO入試推進論者の言う「意欲」とは進学だけではありません。大学進学後も自ら学び課外活動で大学外に出る、あるいは大学全体を良くしていこうとするなど、行動に関する「意欲」も含みます。旧制高校の生徒に比肩するようなタイプということなのでしょう。
 それでは、旧制高校的な意欲にあふれるのはどちらか。それは開成であって、都立A高校では微塵も感じられませんでした。
 もし、私が「自ら考えて動けるタイプ」というAO入試の思想に従って入学者を決めるのであれば開成の生徒を取って、都立A高校の生徒は落とします。
 ところが開成の生徒はAO入試をほとんど考えません。一般入試で東大・京大などを目指します。そして「自ら考えて動けるタイプを取りたい」とするAO入試の思想とはほど遠いはずの都立A高校は大学進学者の9割以上が推薦入試またはAO入試によって入学します。
 AO入試推進論者の取りたい生徒は開成にいて、でも受験しない。取りたくないタイプの生徒は都立A高校に多く、それでいて相当数が受験し入学していく。なんと皮肉なことでしょうか。
 しかも、AO入試によって入学した生徒が大学を活性化したり、自ら学ぶことで一般入試で入学した学生を追い抜いたのでしょうか。寡聞にしてそうした事実を私は知りません。
 特に考えずに行った偏差値最低高校と最高高校の文化祭で私は「AO入試は推薦入試の変化球」という自説を再確認することができました。
by reiji0 | 2007-10-20 00:12 | 日記