ライター(大学ジャーナリスト)石渡嶺司のブログ


by reiji0
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【解説】
他大学でもできることより基盤固め

広報担当の責任者になって、まず誰もが考えつくのが選択肢a・bにあるようなオープンキャンパスの増加や高校回り、それから選択肢には入れませんでしたがパンフレットを豪華にしたり、オープンキャンパスの配布物に図書カードを加えたり…。
でもこれらはいずれも共通点があります。そう、他大学でもできることなんです。例えばオープンキャンパス。今まで3回開催だったものを5回にすれば近隣のライバル大学は「だったらうちは6回だ」、図書カード500円分を配れば、ライバル大学は「よーし、うちは音楽券1000円分にしよう」
とまあ、きりがない。これは高校回りやパンフレットも同じです。
 こうした物量戦では資金が潤沢な方が勝つに決まっていますし、勝ったとしても消耗激しく、賢い作戦とは言えません。
 それと、オープンキャンパスや高校回りは一見すると経営トップや管理する側にとって分かりやすさがあります。開催回数とか回った校数、参加者数とか。
 しかしですよ、よーく考えてみてください。
 「日本全国、どの大学でもオープンキャンパス、高校回りを強化している」
はずですよね?それでいて、どの程度の効果があるのかは曖昧です。まして大学冬の時代、受験生人口が左肩下がりで減っているご時世です。オープンキャンパス・高校回りを強化したところで逆に受験生を減らすかもしれない。
 まして、オープンキャンパスは対応する他部署の職員や教員、高校回りは担当職員と対応する(させられる)高校側、それぞれに負担がかかります。
 負担が大きい割に、効果が見えにくい。これ、言うのは簡単ですが、言われる方にしてみれば
「言うだけなら楽だよな」
と倦怠感漂う、方策です。
あと、オープンキャンパス・高校回りを一生懸命にやって逆効果になることも。この辺は後述します。
 あ、ちなみにオープンキャンパスや高校回りが効果低い、というわけではないですから念のため。

 一方のc・d。「俺はこの大学の生き字引だ、知らないことはない!」と言い切れるほど詳しいなら不要でしょうけど、ほとんどの方は自校と言えども詳しくないはず。ならば各部署・各学部に聞いて回るべきでしょう。

「いや、でもうちは普通の大学であまり特色無いし」

私がこういう提案をすると必ず「普通だし」という反応が出ます。いや、ええと、その「普通」をもっと詳しく。
 今、日本には700以上の大学がありますが、必ずどこか特色があります。あなたが「普通」と思い込んでいることが実は他大学には真似できない特色であるかもしれないのです。
 この「大学回り」「普通探し」、大学の外部から見るとできていないところが多いようです。
 ある伝統校の職員からも「うちは普通だからダメだ」と落ち込みながら言われたことがあります。しかし、その大学、有名教授がいて、ある分野での就職が相当強いはずなので指摘すると

「まあ、その分野では強いようですけど、普通でしょう」

 だからその「普通」が他の大学にはないんだよ!と叫んだらそれはそれは驚かれました。叫んだのがまずかったか、それとも他大学にその「普通」がないことに驚いたのかは不明です。
 知っているつもりでも意外なポイントを見落としているかもしれないので、是非、「大学回り」という基盤固めはやってみてください。

 dの「電話対応の改善」も基盤固めの一つでしょう。これもできていない大学が実に多い、と断言できます。次の項目でも説明しますが、取材から受験生の質問まで、始まりはそのほとんどがまずは電話から。改善して欲しいポイントの一つです。
 c・dはa・bに比べ、管理する側には分かりにくさがあります。広報課長に就任して「大学の良さを知りました」「電話対応を改善しました」と報告しても経営トップから「何をしているんだ」と怒られるかもしれない。
 しかし、目先の分かりやすさよりまずは基盤固め。上から文句を言われても基盤を固めていくのが責任者の務め、ではないでしょうか。


 ※このシリーズ、元は匿名でやる予定でしたが、ブログで名前が出ているので意味なしに。繰り返しますが「傍目には、の話」「一部、創作・他者の経験談」などを含むので

 「石渡の取材なんか受けてやるものか」

 とかいじめないで下さい。いや、本当に。
by reiji0 | 2006-09-21 22:55
【結果】

a オープンキャンパスの回数を増やす
「時代はオープンキャンパスです!」と会議でオープンキャンパスの回数倍増を強く訴える鈴木課長でしたが、力説すればするほど、冷ややかな空気が流れます。
「回数増やしたら受験生が伸びるわけ?」
「受験生の対応はどうするんだ、広報課だけでやるわけじゃないだろう」
「他の業務が滞ることは承知しているんでしょうね?」
反対意見がバンバン飛び交い、結局、2回増加という折衷案に落ち着きました。
そして1年後。他大学もオープンキャンパスの回数を増やしたので苦労した割に受験生は前年割れ。広報課の発言力は著しく低下しました。
「こんなはずじゃなかったのに…」

b 高校回りを強化する
「受験生を増やすにはやはり高校との連携強化しかない」と考えた鈴木課長。
「そういうわけでこれから広報課職員の高校回りノルマは2倍にする」
広報課内部で悲鳴が上がりましたが、鈴木課長は叱咤激励して職員を外回りに出します。半年後、あるマスコミが紀州雑賀大学に注目、取材をしようと電話をかけました。ところが、課長以下、いつも高校回りで不在です。
「しょうがない、隣の伊賀忍者大学に取材を申し込むか」
そして記事の効果で伊賀忍者大学の受験生は大幅増。一方、高校回り作戦は他大学も強化したためほとんど効果はありませんでした…。

c 大学の各部署・各学部との連携を強化する
「うちの大学の良さって何でしょうか?」広報課長に就任してから1ヶ月、鈴木課長はひたすら各部署・各学部に聞いて回りました。
受験生が減少の一途をたどり、沈滞ムードの漂う紀州雑賀大学でしたが、鈴木課長の「大学回り」で一変。「鉄砲学部で取れる三段撃ち資格は就職で無敵」「文化遺産学部の僧侶体験実習は30年の伝統があり、学生に隠れた人気」「図書館の鉄砲コレクションは世界有数」など就任前に知らなかった情報を得ることができました。鈴木課長はこうした情報を元に受験生にアピール、効を奏して、翌年には受験生を増やすことに成功しました。
「やはり、内部の連携から始めないと」

d 電話対応を改善する
「はい、いいですか。まず、受話器をとって校名と名前を言いましょう」
鈴木課長は「まずは電話対応から変えよう」と考え、手始めにスチュワーデス出身者が経営するマナー会社に依頼、マナー講習を広報課職員に受けさせました。
やっぱり元スッチーだけあって美人だな、と派遣された講師を見て鼻の下を伸ばす男性職員でしたが講習が進むにつれ、段々と雲行きが怪しくなります。
「今までそんな電話対応だったんですか?一般企業ならすぐクレームが来ますよ!」と講師に怒られ、うなだれる職員が続出。それから電話対応が格段によくなりました。
「受けさせて良かった、でももっと意識を変えていかないと」
by reiji0 | 2006-09-20 22:03
1.広報担当者になった、まずどこから手を付ける?
紀州雑賀大学の鈴木重秀氏はこのたび、広報課長になりました。大学経営トップからは「我が校の良さを知らしめるように」との無理難題、もとい大命が降りました。さて、どこから改善していきますか?

aオープンキャンパスの回数を増やす
b高校回りを強化する
c大学の各部署・各学部との連携を強化する
d電話対応を改善する

※文中の大学・人名は架空のものです。また各ケースは一部創作を含むこともあります
by reiji0 | 2006-09-19 22:32
 また尻切れトンボになるかもしれませんが、当分、広報上手・下手ネタを一つ。

 いや,実は大学職員対象の「広報上手・下手」本、ちょっと真剣に書きたいな、と考えていたんですよ。
 大学だけでなく教育業界全般までに広げれば、1冊2000~3000円の高価格帯でも初版3000円で1・2回は増刷かかるくらいに売れるかな、と。

 ところが先日、出版界で信頼のおける友人に相談したところ、

 「無理、まだ甘く見ている」

 それはもうあっさり切られました。ショックではありますが、まあそうかもしれないな、と。しかしある程度、書きためていてそれをお蔵入りするのはもったいない、というのがありまして。
 つまり一言でまとめれば、

 商業出版化に失敗しての緊急避難策

 なのですが、これについては触れない方向で是非。
by reiji0 | 2006-09-19 22:29

悪魔のゲーム

ここ1ヶ月、ちょっとした合間にはまっているゲームがこちら。

 DICEWARS

 サイコロふって陣地を広げていくだけなんですが、馬鹿らしいほどはまっています。こんな暇あったら仕事しようよ、山のように企画案たまっているんだから…。
by reiji0 | 2006-09-10 00:21 | 日記

大学の選び方2007

 朝日新聞社のムック、『大学の選び方2007』でオープンキャンパス特集4ページを担当しました。
 それから日経BP企画、大学院ガイドでQA集6ページの構成も。

 どちらも書店で発売中。
by reiji0 | 2006-09-10 00:17